最高裁判所第三小法廷 昭和56年(オ)920号 判決 1982年2月23日
上告人
新井義治
被上告人
小田原市農業協同組合
右代表者理事
杉崎正
被上告人
農林水産大臣
田沢吉郎
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告人の被上告人小田原市農業協同組合に対する上告状記載の上告理由及び上告理由書記載の上告理由について
所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯することができ、その過程に所論の違法はない。そして、右事実関係によれば、(1) 上告人と被上告人小田原市農業協同組合との間において、昭和四一年一一月頃、上告人の居住建物につき共済金額一五〇万円の建物更生共済契約(以下「本件旧契約」という。)が締結され、更に、昭和五〇年一二月頃、右建物の増改築後の現況に即して満期共済金五〇〇万円、火災共済金一〇〇〇万円の建物更生共済契約(以下「本件新契約」という。)が締結された、(2) 本件新旧契約が締結されるに際し、被上告人小田原市農業協同組合の担当者は、上告人に対し、契約の要点を説明したうえ、建物更生共済契約証書及び建物更生共済約款を交付し、上告人は、これを異議なく受領した、(3) 本件新旧契約のような建物更生共済契約の制度は、全国の農業協同組合が統一的に実施しているものであつて、該契約は、建物等が火災又は自然災害等の事故によつて損害を生じたときにこれを填補することを目的とする一種の損害保険契約である、(4) 前記建物更生共済契約証書には、建物更生共済約款に基づき別記契約内容のとおり共済契約を締結したのでその証としてこの証書を発行する旨記載されているところ、右建物更生共済約款は、全国の農業協同組合の取り扱う更生共済契約に共通のものであり、同約款には、建物更生共済契約につき紛争が生じた場合に当事者間の協議がととのわないときは双方から書面をもつて選定した各一名ずつの者らの決定するところに任せ、それらの者の間で意見が一致しないときは神奈川県共済農業協同組合連合会が設置する裁定委員会の裁定に任せる旨の条項がある、というのである。
判旨原審は、右事実関係のもとにおいて、上告人と被上告人小田原市農業協同組合との間に締結された本件新旧契約において右建物更生共済約款の条項のとおり仲裁契約が成立したものとし、かつ、上告人の被上告人小田原市農業協同組合に対する本件新旧契約の解約に伴う返戻金等の支払請求に関する本件紛争が右仲裁契約に定める紛争にあたるものとして、上告人の被上告人小田原市農業協同組合に対する本件訴えを不適法であると判断したものであつて、原審の右判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。違憲をいう所論は具体的な条項の指摘がなく、また、その余の所論は、ひつきよう、原審の専権に属する事実認定を非難するか、又は独自の見解に基づいて原判決を論難するものであり、論旨は、いずれも採用することができない。
上告人の被上告人農林水産大臣に対する上告状記載の上告理由について
違憲をいう論旨は具体的な条項の指摘がなく、また、原判決に所論事実誤認の違法があるとは認められない。論旨は、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(寺田治郎 環昌一 横井大三 伊藤正己)
上告人の上告状記載の上告理由
原判決について上告人は憲法上又事実誤認等があると確信するので上告致します。
同人の上告理由書記載の上告理由
先づ判決文に対して上告理由をのべる。
判決理由書より原審被告尾崎吉雄本人尋問の結果成立の認められる乙一号証 乙一号証の何を成立したとしたのか私には理解出来ない約款は昭和四一年当時から数回改訂が行はれております。
① 黄色い色がしていたとの私の印象は外のものも黄色いのがあるとのこと
② その数回改訂の行はれた後の部が乙一号証であり
③ その一号証は受けとつていないことその反証の機会も与えられなかつた。
④ その一号証を成立せしめるために広告(官報など又本来は契約人え送付せしめる等の方法で始めて有効と思はれるがしてない)
⑤ 手渡したとすると前後の矛盾が生じること
⑥ 被告尾崎の錯覚がウソであること
⑦ それを確認せずなされた一方的な判断であること。
⑧ 二審は又その誤りをくり返したこと。
⑨ その間の①〜⑦は訴状中で明かになつており補足する必要があると私は思います。聞いて頂けるなら喋る又は文にて提出します。
本訴は提訴人が昭和五十年十二月右旧契約を解約し……とあるがこれは違う 私が解約したのではなく訴状にもある様に被告尾崎が勝手にしたことで追認したものでもないそれが私にとつて利益がある最善の方法なら兎角 したであろうと想像出来ることであつても尾崎個人と農協がその道のプロであり利益追求団体であつてみれば とかく裏で行はれたことは知りにくい立場の私であつてみればそれ以上つかみ様がないそこを利用し十数万円の利益をひねり出す便法に私の契約が使はれたものと思はれる したがつて第一回の契約返戻金をもつて来なかつたのではないかと思はれ 第二回目に充当することになつたのもそこに布石があつたのではないかと今になつて思はれて来る。後日確認も領収書のないのもきれいにつながつて来るのである。
しかし今は仲裁裁定で争はれているのでこの辺りにする。
私は契約の内容は認めておりません 又むづかしいことは尾崎本人が解らない と尋問中のべており それらの事実を誤認した一二審判決であつて不当であります。
理由中二 農業協同組合という非営利人が実施するため「共済」という名称を付していることが認められるが 一般に保険契約の当事者は特段の事情の認められない限り原則として普通契約約款による意思があるものと推定……とあります これはいくつかの言葉が抜けているものと思はれます 即ち農業協同組合という農協法に基ずいてなされた施設による非営利人が 営利を目的とせず実施するため共済という名称を付していることが公に認められるがそこで保険契約の当事者は営利の部分を除いた普通契約約款によつて利益を得ようとする意思があつて組合員等はなしたものということだと思はれる 前段の判決文中のそれは御都合主義的で農協側の営利目的を認めたもので違法である。
いはんや債務行為がかくされたものにその契約そのものが無効である。その上 ペテンの条項が甲二号証二四条にある。どう弁を立てようと支払いますの中にどうして債務行為が表現されているのか 完全に素人えのペテンである。
この裁決文はすりかえの論法でまやかしである それは内容に立ち入らないと明かになつて来ないのである そこに裁判所がじつくり見すえたものとは到底思えないので結果的にこの判決は不当と思はれる。もつと審理を尽すべきだ。
又読み替えると非営利法人が行う共済事業は 普通営利契約と何等変らず利益追求の手段として合法であるために 第一回時に運用資金としてさらに数万円の債務を契約人に何ら表すことなく告知することなくなさしめ強要し会計を行いインペイしても 農協法に触れることなく他の関連法律民法上も問題はないことになる。
私はかゝる判例がどの様な経緯でなされたか 又本件にどの判断から示されたか判じかねるが この矛盾は正されなければならない。
判決文中――本件新契約を締結した際証書約款の交付を受け とあるがこれはウソである 一二審とも裁判所は一方的言分で判じたもので権利の乱用であります。
又同人から契約要点について説明があり――とあるが 契約の要点とは何か(裁判所で云う)はどれを指すのか私は知らない 解らないけれどむづかしいことは解らないと尋問中証言しており 私に対して尋問したのだろうか 証言させる機会を与えたのであろうか 無い 反証する機会のないまゝ一二審ともいきなり判決日指定なのであるそれもコロコロ変つてである。
顔がそつちを向いていわば何をいつても聞けない上にである。
その件は関係ない で次々に片付け進める裁判は いゝくるめる者に味方する職業意識であつて 正義を ではない!
裁判所がこんなとは知らなかつた。
訴状をもう一度じつくり読んで頂きたい解らないところは聞いて頂きたい プロの弁護士えの配慮を私にも下さい。
仲裁裁定について
提訴人としてはその解決の為に先づとのべているが先づとは後があるものと解釈して良いのか 即ち短刀直入にのべれば二段階仲裁裁定の後不服の際は裁判に訴えられるのか この判断は是非明かにして頂きたい。
民事訴訟法第七八九条に当時者の双方が仲裁人を選定する権利云々とあり 本件の場合第四三条―前略―との間に紛争が生じた場合に於ては当事者間の協議がととのはないときは当事者双方が書面を以つて―略 とあります
先づ農協側は仲裁裁定があることは承知しそれにしたいと云つてるのかどうか知らないが 私が裁判に訴えざるを得なくなつたことは 昭和五三年二月一〇日説明会の際証拠書類の確認を行つた際又県共済の鈴木氏が裁判だ裁判だとわめいた時でも明かであり 又それを認める説明書にても明かであり 証拠として提出済でそれに基ずいてした裁判を認めないとは支離滅裂であり 一二審ともその証拠に触れずして仲裁えとした判断は誤り(事実の)であります
最初の段階でどれをとるかは仲裁でなければならないとは書いて記されておらず選択になつている。しかし仲裁の道を選んだ時はその上級の委員会の決定には従はなければならない。とあります。
とすると反面解釈すれば その道を選んだからそれに従いなさい との主張は当初道があいているから合法であつて合理的であり 迷路的な。蟻地獄状の。定置網みたいな。ものであるからこそ 前段の選択の自由が認められてこそ有効である さもないと結果的に裁判権を奪うことになるし有効であるはずがない相手方も選定作業をしなかつた 裁判による解決の方法も甲一一号証で認めており約款中仲裁の後でなければ裁判は不可との契約はなく この争いはその性格上仲裁裁定委員会の性格上次元が高すぎ裁定は下せないものである。
仲裁裁定の性格がはなはだ不透明で説明もなく この委員会の誕生から今日迄はあつたとして 無かつたことがはからずも今日のあまりにもいゝ加減な事務を見ても推測され まともな人間はその道を選べないのではないのか はつきりいつて御用機関であつたが為にむづかしいことは分らない 解らなくても契約をした要点は云つた(裁判所の判断だが)ことになりそれで卅年からする私達の財産のパートナーだという訳である。
実績と機能と仲裁人としての見識とがあればこの様はない かゝる情態情況でシャープな解決方法を生み出さない被告等は外に考えをもつているものと思はれる それは純粋なものではない それに力を貸すのであろうか。
兎角プロとしての職責を忘れたそれぞれに歎しい思いの中で原審に差し戻す様求め とりあえず申しのべます。